最近、注目されだしている非認知能力をどこよりも分かりやすく解説していきます。分かりやすさ重視です。
非認知能力はたくさんのスキルがある
非認知能力は、ソフトスキル、性格スキル等と呼ばれることもあります。学校のテストで求められる読解力や計算力などの能力(認知能力)とは違う能力ということで、「非」認知能力という名前がついています。
非認知能力とは具体的どういうスキルなのでしょうか。ざっくりいうと「自分自身に関わる能力」と「他人と関わる能力」の2種類あります。それぞれこのようなスキルがあります。
自分自身に関わる能力
- 自信
- 自己肯定感
- 自立心
- 自制心
- 想像力
- 目標への情熱
- あきらめない力
- 忍耐力
- 行動力
- 批判的思考
- 応用力
- 楽観性
- 工夫力
- 柔軟性
- 好奇心
- 回復力
- 客観性
- 時間間隔
他人と関わる力
- 協調性
- 共感する力
- 思いやり
- リーダーシップ
- 社交性
- 道徳性
- コミュニケーション
- 敬意
このように非認知能力と一言でいってもたくさんの種類があります。
学校のテストと同じで、生まれつきの素養はあるかもしれませんが、訓練しだいで伸ばしていくことができる能力です。ただし100点、80点のように計測するのはまだまだ難しいので、まだとらえどころがないかもしれません。
少し具体例でイメージしてみましょう。
時速50㎞で進む車が30㎞先の目的地に到着するまでの時間を知るために必要な能力は認知能力です。一方、ずっと泣いている赤ちゃんを笑顔にするために必要な能力は非認知能力です。認知能力は今やAIが人を凌駕しはじめています。将棋のプロ棋士がAIに勝てなくなった、そんな時代に突入しています。
非認知能力が今求められている3つの理由
一昔前は、良い大学に入って大企業や官僚になれば人生安泰と言われていました。つまり誰よりも勉強ができること、認知能力を高めることがめっちゃくちゃ重要だったということです。
でも周りを見回してください。社会的に経済的に成功された方は、みなさん東大出身でしょうか。そんなことはありませんね。勉強がたいへんできるにこしたことはありませんが、社会的に成功するためには、非認知能力もまた必要だということが良く言われます。
一方、非認知能力はお金稼ぎだけのスキルではありません。
自身の幸福度をあげていくためにも非認知能力は必要だと言われます。幸福の基準は今やお金だけではなくなりました。人によって幸福な状態は異なり多様化しています。自分の目指す幸福を引き寄せるために、非認知能力は活躍するのです。
さらに、これからの時代はなんとなく正解らしきものがあった時代から、何が課題かわからない、何が正解かわからない、そんな答えのない時代にどんどん移行していきます。このような時代では、昔の正解を活用できる認知能力よりも、未知のものにも臆さない非認知能力が活躍する機会が多くなるかもしれないので、複雑怪奇になる時代こそ、非認知能力は求められます。
答えのない時代とは
答えのない時代とさらっと書きましたが、どういうことでしょうか。
気候問題や貧困問題など昔からずっとあり解決されていない問題はあります。たくさんの人と共有されている問題はありますが、そうじゃないこともたくさんあるのです。
少し例をあげてみましょう。
みなさんのご自宅にあるドライヤーの色は何色でしょうか。少し値の張る、美容家電にふくまれる高額なドライヤーはピンク系のものが多く販売されていました。なぜなら髪にお金をかけるのは女性だからです。女性=ピンク、ですよね。
でも実は最近、男性も髪に気を使いはじめ高級なドライヤーを購入し始めているのです。
そこでメーカーはジェンダーレスに対応するため、白色や紺色など男性も女性も手に取りやすい色を主力にし始めています。
こんなこと少し前では考えられませんでした。40歳のオジサンが美容家電である高いドライヤーを毎日使い髪のケアをしている、なんて話を聞いたらキモイと思う人が多かったかもしれませんが、今は違うのです。
美容家電=女性のもの、という前提がもろくも崩れて美容の世界が一気に新しい世界に突入したわけです。こういう変化が日本だけでなく世界のいたるところでポンポン発生するので、いままでの常識ややり方、考え方が通用しなくなり何が課題かわからない、答えのない時代になっているのです。
AIもどんどん技術が進歩しもっと社会に浸透してくることでしょう。こんな時代を生き抜く今の子ども達は大変です。非認知能力はやり方も正解もわからない不安な状況を乗り越える力にもなります。だからこそ子育ての中で非認知能力を育んであげることは親として大切な役割になっているのではないでしょうか。
学校のテストはもう不要?
AIの進化もあるし、なんだ、認知能力はもうほとんど必要ないんだ、というのは極論です。高い偏差値は必要ないかもしれませんが、認知能力も絶対に必要です。
なぜかというと、これからの、人によってはカオスと呼ぶ時代には、ゼロから考えることがますます求められ、まさに認知能力と非認知能力を双方フルに活用しなければならないからです。
学校の勉強は、おおざっぱにいうと知識の暗記と問題の解き方を暗記することです。最近はAIを活用したアプリやサービスもあり効率的に暗記することができるようになってきました。
テストのための暗記は一昔前より効率的にできる便利な時代にはなりましたが、一つ残念なことがあります。学校の勉強は知識の詰め込みという側面もありますが、一方で自分で自分に合った学び方を見つけ出す、という側面もあるからです。
AI(プログラム)が出す問題を解いていればテストの点数は上がっても、プログラムの言いなりになっているだけなので、自分流の学習法を編み出すことはできません。AIに頼りっぱなしというはあまりよくないかもしれません。暗記や計算なんてもうAIに人が勝つことはないですし、うまくAIと付き合うことが必要になりますね。
非認知能力の伸ばし方
非認知能力とEQとはよく似たもの同士で大きな違いはありません。IQが高くてもEQが低いなという人身近にいませんか。頭はいいかもしれないけど人としては残念、という人。
大なり小なり今の大人は、言われたことをこなすことは長けていたり、横並び主義の人が多いですが、自己肯定感等の非認知能力に自信を持っている人はそう多くはないのではないでしょうか。
それなりの価値観ができあがり経験も積んできているのに非認知能力がそれほど高くない大人が自己否定をして、非認知能力をグングン高めていくのは、そりゃ至難の業です。
だからこそ小さいうちから非認知能力に着目した教育を行うことが何より大切なのです。
ここでは、少し子育てに焦点をあてます。
先ほどご説明したように非認知能力にはたくさんの種類の能力があります。こんなにあるものを一体どうやって伸ばしていくのかと途方にくれそうですが、ご安心ください。理科を学んでいるときには社会の勉強にはなりませんが、学校の勉強と違い、たくさんの非認知能力は同時に伸ばすことができます。
例えば、何かうまくいかなかったときに、あきらめずにナニクソと思いもう一度チャレンジしようとするとき、「あきらめない力」「回復力」「創造力」といった能力が一度に育っているかもしれません。
子どもの非認知能力を伸ばすには、けっこう気にしたほうが良いことはあるのですが、なかでも大切なものを3つご紹介します。
それは、①親の接し方、②徹底的に遊んで休む、③安心できる家庭づくり、です。
①親の接し方
行きすぎた指示、管理、強制や認知能力をあまりにも重視しすぎることや、誰かと比較しすぎてマウントを常にとろうとしていたり、不満ばかりもらしたり、といったことが日常となってしまっている接し方は止めましょう。
子供の成長にあわせて制限を設けながら子どもの意思を尊重し、ありのままの今の姿を100%認めてあげましょう。
②徹底的に遊んで休ます
小学校低学年くらいまでは、習い事で忙しくするのではなく、遊ぶ時間をたくさん作ってあげましょう。遊ぶのが子どもの仕事と思うくらいで大丈夫。
遊びの中で学ぶことはもうたくさんありますし、この時期にしかできない遊びなんて山ほどあります。そして忘れずにボーっとする時間もつくってあげましょう。ボーっとTVを見る時間ではありませんのでご注意を。
③安心できる家庭づくり
家が安心できる、そういう基礎がないと非認知能力は育ちにくいものです。家が安心できるというのは、夫婦(両親)が仲が良いということも含まれます。家に帰ると落ち着くなぁと思ってもらうことが大事です。
当ブログ(とっとこ子育て移住)では、その外にも子どもの非認知能力を伸ばすためにどうしていけばよいか、そのヒントになるたくさんの記事を紹介しておりますのでご参考にしてください。
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出典
文部科学省 学習指導要領
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1383986.htm
OECD
https://www.oecd.org/education/ceri/FosteringSocialAndEmotionalSkillsJAPANESE.pdf
国立教育政策研究所
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