21世紀の時代は、テストで計測できるスキルではなく、非認知能力(あと伸びする力)がとても大切だと言われます。この非認知能力は遊びとの相性がとても良いので、賢く遊ぶことが重要です。当記事では、非認知能力を高める遊びの考え方についてご紹介いたします。非認知能力(あと伸びする力)については、記事の一番下で説明しております。
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何をして遊ぶかよりどう遊ぶか。
非認知能力を高めるには、絵を描くのがよいとか、ごっご遊びがいいとか、自然のなかで思いっきり遊ぶのがよいといった、何をして遊べばよいか、という記事や本、SNSの投稿はよく目にします。一日中YouTubeを見ているよりかははるかに良いですが、では、絵を描いて、ごっご遊びして、自然の中で遊べばそれで良いのかといえば、そう話は簡単ではありません。
どうせ遊ぶなら、なるべく非認知能力向上と相性がよい遊びがいいのは言うまでもありませんが、大切なのは何をして遊ぶかより「どう遊ぶ」かのほうがはるかに大切です。遊びの中で探求が行われ、考える力が伸びそうか、創造性が伸びそうか、想像力をつかっているか、共感力が伸びているか、没頭しているか、等の側面が見られるかの方が重要です。
遊びの種類は、個々人によって合う合わないがありますので、〇〇君は外遊び、●●ちゃんはごっご遊びと、好きな(よくする)遊びが違って当たり前です。何をして遊ぶかよりそれぞれの遊びで、探求の要素があるのかが大切です。
では、どう遊ぶか、といったことをどのように楽しく意味あるものにしていけばよいのでしょうか。ここで、「こども遊び診断」という考え方を紹介したいと思います。
こども遊び診断とは
こども遊び診断には6つの枠があります。今のお子さんの遊びをマッピングして現在地を確認し、どう非認知能力を高められるように親からまたは学校の先生から働きかけるかを見るものになります。右上のほうが非認知能力を高めるには良いです。
| 従来のルール | 新しいルール |
新しくできた | ③ | ⑥ |
能動的に | ② | ⑤ |
受動的に | ① | ④ |
なわ飛びを例にしてみましょう。なわ飛びには飛び方があります。この飛び方のルールのなかで楽しむ・遊ぶ場合は左側の①、②、③のどこかにマッピングされます。
- ①はどうやって遊ぶか見たり聞いたりする遊びです。例えばYouTubeでなわ飛びに関する動画をぼーっと見ることです。
- ②は実際に遊ぶ中で、自分でできる範囲のなかで行う遊びです。例えば、今、前飛びができるなら、前飛びして遊ぶことです。
- ③はチャレンジです。今までできなかったことに挑戦する遊びです。例えば、二重飛びを頑張ることです。
どうでしょう、イメージが湧きましたか。②と③の内容は、子どもの成長とともに変わっていきます。②から③へ子どもへ導いていきましょう。
次に、右側(④、⑤、⑥)を説明します。これは新しいルールを自分で創作して遊びます。ここでは、例えばなわ飛びを使ってニョロニョロゲームというものを考えたとします。
- ④は新しいルールをお友達や親が考えて、それに従い一緒に遊ぶことです。
- ⑤は自分で新しいルールを考えて行う遊びです。
- ⑥はニョロニョロ遊びの中でもっとこうしたら楽しいを考えて遊びを進化させたものです。仮に何かを複数回するぞと目標が決まってそれに挑戦する遊びです。
どうでしょう、イメージが湧きましたか。⑤だけでも十分脳がプスプス刺激されます。
親なら(学校の先生なら)子どもたちの遊びを見ていて、この「こども遊び診断」をつかって、③は多いのか、⑤の遊びはあるのか等をまずは知ってください。そして、非認知能力を高める方向に、この診断表をつかって子どもを導いてあげてください。楽しく遊べるなら喜んで子どもはチャレンジするでしょう。
| 従来のルール | 新しいルール |
新しくできた | ③二重とびをする | ⑥5回失敗せずにニョロニョロゲームする |
能動的に | ②前とびをする | ⑤ニョロニョロゲームで遊ぶ |
受動的に | ①なわとびの動画をyoutubeで見る | ④ニョロニョロゲームに誘われて一緒に遊ぶ |
そもそも非認知能力を高める遊びとは
私は、行き過ぎた早期教育には反対です。子どもが小さいうちは学力より、しっかり遊んでテストでは計測できないあと伸びする力を高めたほうが、21世紀を生きる子どもたちにとって大切だと信じています。ですから、どういう遊びをしたら非認知能力を高めることができるのかな、ということはとても関心があります。
一般論として、非認知能力を高めやすい遊びはあります。粘土を使った創作活動のほうが、ただこなすだけのスマホゲームをプレイするよりか良いでしょう。
ここで1点注意があります。それは遊びの種類によって良い悪いが画一的に整理されることはないということです。
例えばYouTubeで何か動画を見ていたとします。そんなのは時間の無駄だと思われる方は多いかと思います。確かに大人がぼーっとテレビを見ているのと同じに見えるかもしれません。もし、そんな感じならあまりお勧めしない遊び方(時間の使い方)です。ですが、動画を見て学んでいるなら話は別です。動画の内容によってはよっぽど図鑑なんかより深く広く気づきがあることでしょう。このように、遊びの種類によって、これは良い悪いはありません。
ずっとお絵かきばかりして同じような絵ばかり描いているように見えても、探求が行わて、表現の工夫や細部への描き込みができるようになってきたりと少しづつ進化していることはよくあります。さきほどのなわ飛びの例はぱっと見で分かりやすい変化ですが、そうではない小さな変化もありますので、じっくり見てあげることが何より大切です。
探求メソッド
randy bellさんとheather banchiさんによると探求には4つの探求レベルがあるそうです。これは親(先生)が、テーマを示し、課題の取り組み方からどうしたらいいか(一定の結論)という所までサポートするものから、子供たちに自由に探求させるものまであります。上から2つ目の、構成された探求、というのが学校教育現場ではよく見られるパターンのようです。
こども遊び診断表では、①から②へ、②から③や⑤へ、⑤から⑥へ子供たちを導いてあげるのが良いですよ、と説明しました。でも子どもが自発的にできることもあります。この探求メソッドも活用し、どこまで子供によりそうほうが良いのか、考えるとよいでしょう。
randy bell とheather banchiによるthe many levels of inquirityによる4つの探求レベル
| 始まり(問い) | 過程(プロセス) | 結論 | |
確認する探究 | 〇 | 〇 | 〇 | |
構成された探求 | 〇 | 〇 | | |
ガイドされた探求 | 〇 | | | |
オープンな探求 | | | | |
| | | |
非認知能力(あと伸びする力)
非認知能力(あと伸びする力)を高められるとは、一言でいえば、遊べる自由度が高こと、だと思います。
非認知能力とは、思考力や発想力、連想力、創造力、想像力、表現力、集中力、夢中になれるか、知りたい欲などのことの総称です。
つまり、読み書きや読解力、計算力といった学校教育で重視されIQで計測できることができる力とは異なります。
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