引用:アマゾン
【タイトル】幸福とは何か(著:長谷川宏)を読みました。幸福とは重要なテーマです。長い時代を生き残った「幸福」の考え方は、きっと未来にも通じるものがあり、子育てにおいて役立つはずです。
概要
幸福とは何か?について哲学者はどう考えたのか。古代ギリシアの時代まで遡り、西洋哲学のなかで、”幸福”がどう論じられてきたのか、著者の視点や意見も交え、分かりやすく紹介されています。
幸福とは、現代のように効率性の追求や成長の先にある権力や栄光の質で決まるのではなく、穏やかさや安らかさや緩やかさを基調とする、と言っています。つまり、資本主義による成長は、必ずしも人々の生活を豊かにするものではない。
また個々人の幸福は、自らで作り上げる個人が納得するものであり、晴れがましさや華やかさとは縁遠い、地味で、ゆったりとした穏やかなものである、と締めくくっています。
所感
哲学の本でしたが、難解な哲学者の言葉も分かりやすい解説があり、さらっと、という訳にはいきませんが、読みやすいほうだったと思います。
21世紀の今でも、各賢人の言葉は納得感があり、時代の変遷を超え耐え抜いた言葉たちや考えはある意味普遍性を感じます。
これは、AI時代やグローバリゼーションがさらに加速しても、同じく意味を持ち続けるのかもしれません。
特に、持続的な幸福は自ら作り出す必要があり、心身ともに穏やかで健康的であることこそが幸福の基盤であること、そして自然と触れ合うことこそが素朴で根源的な幸福の形である、という点がとても印象的でした。
また、ラッセルが幸福の文脈のなかで「退屈」について言及していますが、とても共感します。
私達現代人は、スマホが助長しているかもしれませんが、何かと暇な時間ができないように小さいことでも予定を入れたりゲームをしたりネットサーフィンしたりして、退屈しないようにしています。これは幸福から遠ざかる行為だというのです。
本書で私が気になったこと
幸福に関し、本書に登場する古代から近代にかけて活躍した哲学者達の気になった言葉たちです。
<ソロンの考え>
・幸せとは権力と栄光の質ではなく、その人自身の満足感
<ソクラテスの考え>
・できる限り尊い人間になろうと最善をつくす者が最善の生涯を送り前よりも一層よくなっているという自覚を持つ者が、最も楽しい生涯を送る
<アリストテレスの考え>
・幸福は優れた思考と行動ある徳からまっすぐに出てくる。そのため子供たちは幸せでない
・観想的な生活こそが幸福の極み
<エピクロスの考え>
・私に限って感じる「快」と「自己充足」が重要。「快」とは幸福ある生の始まりであり終わりでもある。幸福ある生は、地位や名誉によるものではなく、身体の健康・心境の平静こそが目的である
<セネカの考え>
・自然に適合した生活のために心が健全で強く体が丈夫な生活に細心であり、運命は活用するがその奴隷にはならない
<カントの考え>
・人間が幸福になりたいと思うこと、行動することは自然なふるまい。
・何かしらの不足を感じるからこそ不足をうめようとする
<ベンサムの考え>
・幸福とは快楽を享受し、苦痛を感じないでいられること
<アランの考え>
・伸びや欠伸、微笑みのようなさりげない動作やしぐさを無理なく繰り出せる心身のありかた、こそが幸福
・受け身ではなく、自らする仕事を通じて何かを作り出し学び、前へと進めていくこと
・幸福は与えられるものではなく、自ら作り出すもの
・幸福を願わなければ幸福にはなれない
・幸福になることが相手への義務であり、美しい贈り物である
<ラッセルの考え>
・外界に興味を持ち、つながりを持つことが基本的な心掛け
・心の平衡のため、外に興味をもつ
・秘訣は、興味を広範囲とし、それらや人物に対するあなたの反応を友好的とする
・大地とのふれあいこそが、自然とともにある人間の最も根源的で素朴な幸福の形
・幸福なものは自己との統合、社会との統合に成功している
・退屈を逃れるため文明的な忙しや賑やかさを求めるのではなく、退屈の中に静かに身をおいて外界や他人との関係を充実させていく
0 件のコメント:
コメントを投稿